毎日を小さく切り取る

ノスタルジックな写真と、看護の話

2016-01-01から1年間の記事一覧

「私は燃えている」

余命を宣告されると、人は燃えるのだろうか。 彼の肺がんは、膵臓へ、肝臓へ転移しており、もうあまり長くないとようだ。しかし、「今こうして皆さんと会えていることが幸せですし、前は胃がんを乗り越えたのだから、もう悔いのないように生ききりたい」と彼…

思いが話せるトイレの中

「私はね、いろいろ自分でやれって言われるでしょう。しかも怒ったような口調で言うからね、だから自分で少しはやろうとするんだよ。でもやったらやったで『ちがう!』って言われるんだよ。そう言われるとやりたくても、ほら、お世話になっているからね、で…

初雪の朝

雪は嫌いだ。なぜ嫌かって、交通障害を引き起こすからだ。 昼ごろまで降り続いた雪は、今年の初雪だった。現実と向き合わさせられる。これからの数ヶ月が思いやられる。 早起きにゆっくり運転、疲労とイライラを蓄積しながら職場に着く。テラスの窓の近くに…

「そろそろ落ち着こうと思って」

「そろそろ落ち着こうと思って」。先日、約3年ぶりに再会した友人が繰り返した発した、結婚に向けての言葉である。 彼氏もいない、冬が近づくにつれてさみしさを感じている現在、友人の言葉はただただ衝撃的だった。しかしもっと強くハッとしたのは、人生の…

「今年の七夕でな、娘に会えますようにって書いたんだよ」

「今年の七夕でな、娘に会えますようにって書いたんだよ」。朝、松屋で彼はこう話してくれた。 釜ヶ崎に来て、もう5日。炊き出しや夜回り、いろんな人と会って、いろんな人がいることを知った。そのうちの一人、Aさん。「バカでアホな奴です」が自己紹介のセ…

「えっとなぁ〜、こっちやと思うで」

おっちゃんに道を尋ねると親切に答えてくれるも、その先には目的地はなかった。 動物園前から今池へ、歩いてドヤへ。暗いしiPadだし、なんとなく目立つと思ったので、人に尋ねて今池を目指すことにした。単純な道のりなのに、いろんな方向へ歩いては歩いた。…

「行ってきます」

1週間をかけて大阪へ行く。プランは半分未定。 名古屋に妹を迎えに行くついでにそこで降ろしてもらい、自分だけ大阪へ行く。両親と妹に見送られた。 いままで、旅の始まりといえばいつも空っぽの部屋が送り出してくれていた。不安な気持ちを部屋に向かって「…

さかさまさかさ

大学時代に出会ったある先生は、毎朝逆立ちをするそうだ。なぜって、世の中を逆さから見るためである。 演習後の眠たい授業。寝まいと必死に字を書いて遊ぶ、逆さまにして。 ゆっくり時間をかけて、一生懸命書いた。授業は耳と筒抜けていた。 しかし、逆さま…

わたら のライブ

ある市の図書館でたまたま見つけたフライヤー。最後の一枚。多民族芸能楽団わたら。 私はまるで風になったようだった。大地の呼吸を感じて、さらなる場所へと吹きつ吹かれつ。その身軽さは、心の赴くままをゆるされたよう。 少しお話した方に図書館でのこと…

先生の字

国語の先生は面白い先生だ。彼の言葉には無駄を全く感じない。言葉のエキスパートであることをいつも感じさせる。 彼の板書への字は達筆。それでいて力強い。たまに読みづらいが、一字一字に書き手の意味を感じさせる字だ。 今日、先日提出した小論文の返却…

“ももた”ってなにか知ってる?

とある日、夜勤明けの朝。 その日の朝食は稀に見るヒット食(おいしい)だったのだろう。みんな早く食べ終わってしまい、朝の申し送りまでにいつもより時間ができた。 ただお喋りしてても眠くなってくるだけ。 なのでiPad のお絵かきアプリを使い、「わたしが…