毎日を小さく切り取る

ノスタルジックな写真と、看護の話

「今年の七夕でな、娘に会えますようにって書いたんだよ」

 「今年の七夕でな、娘に会えますようにって書いたんだよ」。朝、松屋で彼はこう話してくれた。

  釜ヶ崎に来て、もう5日。炊き出しや夜回り、いろんな人と会って、いろんな人がいることを知った。そのうちの一人、Aさん。「バカでアホな奴です」が自己紹介のセリフで、面白く優しく、笑顔が素敵な方だ。今朝一緒に食事をした席で、家族の話になり、短冊のことを教えてくれたのであった。

「離婚してから一度も合わせてくれへんのや。会いたいんやけどな」。いつものAさんらしく、気丈に笑顔で、また軽い調子で語るのだが、私は思わず表情をなくした。

 話だけでも身を裂かれそうな状況を、彼はどう受け止めていったのだろうか。遠くから娘の成長を祈り、想像し、ていたのだろうな。もっと父親でいたかったのだろうな。

 彼の人生の片鱗に触れて、 彼の強さを痛いほど感じた。