小さく切り取る毎日

介護の仕事のことや准看護学校の生活のこと、旅、気になったことなど

運と命の朝

 電話一本で突然空気が変わる。入院。急いで準備をし、彼女を送り出した。

 いつもスタッフを気遣い、笑顔を絶やさない。彼女の紡ぐ言葉は、優しくて、あたたかい。旦那さんに車椅子を押されて陽のあたる方へ。佇む姿は誰もが憧れる夫婦のかたち。
 しかし、1ヶ月ほど前から続いた咳や微熱。先週より酷くなった浮腫。「ほら、昨日よりよくなったでしょ」と言って咳き込む彼女。食欲も減ってきた。
 しばらくの間病院に行くことを伝えると、「もう、帰ってこれんだろうな」と繰り返し涙を流す。涙とともに寄り添うスタッフ、気丈に振る舞う旦那さん。みんな、なんとなく同じことを感じていた。
 涙を拭いても、彼女は遠くへ行くばかり。運命、どこかへ飛んでいってしまえ。